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犬が散歩中ににおいばかり嗅ぐ理由、
そのままにしてあげてください

2026年2月26日

前に進まず、電柱の前で3分目。散歩なのかにおい鑑賞なのか分からない日、ありますよね。でもそれ、問題行動ではなく、犬が散歩を「正しく」やっている姿なんです。あのクンクンという音に込められた話をしてみます。

ひと目で分かる答え

においを嗅ぐことは、犬が世界の情報を読む方法です。嗅覚は犬の第一の感覚なので、電柱1本が町の掲示板の役割をしています。においを十分に嗅いだ散歩のほうが、同じ距離を速く歩く散歩より、エネルギーの消費とストレス解消に効果的です。

電柱の下のにおいを夢中で嗅いでいる犬

犬にとって、においとは何だろう

犬の嗅覚受容体は、人の数十倍の規模です。人が目で世界を読むなら、犬は鼻で読みます。電柱に残った他の犬の痕跡から、誰がいつ通ったのか、どんな状態なのか、といった情報を読み取るんです。町の掲示板でありSNSというわけです。

だから、においを嗅ぐ時間をあげない散歩は、人でいえば目隠しで歩く散歩です。運動にはなるけれど、楽しくないんです。

速く歩くvsにおいを嗅ぎながら歩く

項目速く歩くにおいを嗅ぎながら歩く
体の運動高い中くらい
精神的な刺激低い非常に高い
疲労度体だけ疲れる体と頭が一緒に疲れる
ストレス解消普通高い

ノーズワーク15分は走り30分ぶん疲れる、という言葉があるほど、鼻を使う活動はエネルギーの消費が大きいです。散歩の後、やけにぐっすり眠る日を思い出してみてください。たぶん、においを思う存分嗅いだ日のはずです。うちのグルム(「雲」という意味の名前です)は同じ電柱の前で毎日1分ずつ立ち止まるのですが、30分速く歩いた日より、そうやって20分歩いた日のほうが、家でぐっすり眠ります。

それでも前に進むべきときは

すべてのにおいを待ってあげるわけにはいきませんよね。そんなときは、散歩を区間で分ける方法を使ってみてください。このブロックは自由にクンクンする区間、次のブロックは歩く区間。「行こう」のような合図の言葉を決めておいて出発のたびに使えば、その子も「今は歩く時間だ」と学びます。

ひとつだけお願いがあります。リードをぐいっと引いて断ち切ることだけは、しないであげてください。読んでいる最中の新聞を取り上げるのと同じですから。読み終わるまで少し待ってあげること。それが、犬から見た最高の散歩マナーです。

クンクンという名前は、ここから生まれました

犬が世界を読む音、クンクン。その時間がもったいなくて作られたアプリなので、お散歩の記録が中心です。今日うちの子がどこをどれだけ読んで回ったのか、距離と時間が日付別に積み重なり、歩いた日には足あとスタンプが付きます。

クンクンでお散歩記録をはじめる →

におい散歩を、わざと作ってあげる

普段の散歩が移動中心だったなら、週に1、2回は「におい専用の散歩」を作ってみてください。目的地なしで、その子が導くままに、止まりたいだけ止まる30分。リードを普段より少し長めに持って、付いていくだけでいいんです。最初はぎこちないのですが、その子がどこを気にしているのか見る楽しさが、思ったより大きいですよ。

雨の翌日が、におい散歩のゴールデンタイミングです。ぬれた地面はにおいが濃くなるので、わんちゃんたちにはお祭りの日。普段なら素通りしていた草むらで長い時間を過ごすのには、理由があるんです。

においの嗅ぎすぎを見分ける方法

ただし、すべてのにおい嗅ぎが楽しみとは限りません。不安なときに地面のにおいへ逃げ込む子もいます。見分け方は体です。しっぽが自然で足取りが軽ければ探索、体が低くて耳が後ろに張り付いたまま一か所ばかり掘るように嗅ぐなら、回避のサインかもしれません。後者なら、何が苦手なのか(近づいてくる犬、うるさい工事現場)周りを見回して、その刺激から距離を空けてあげてください。

結局、原則はひとつです。においを嗅ぐことは犬の権利で、いつどこで嗅ぐかの安全だけを人が守ってあげればいいんです。

今日の散歩では、電柱の前のあの3分を少し違う目で見てあげてください。うちの子が世界のニュースを読んでいる最中なんだと。待ってくれる飼い主さんの隣で思う存分においを嗅いだ犬の一日は、間違いなく、もっと豊かです。

よくある質問

においを嗅いでばかりで、運動にならない気がします。
大丈夫です。においを嗅ぐのは精神の運動なので、体の運動に劣らない疲労を作ります。運動量が心配なら、散歩をにおい区間と歩く区間に分けて、両方確保すれば大丈夫です。
他の犬のおしっこのにおいを嗅ぐのは、衛生的に大丈夫ですか?
健康な成犬がにおいを嗅ぐ程度なら、おおむね大丈夫です。ただしなめるのは別問題なので止めたほうが良く、ワクチンの終わっていない子犬は、排泄物との接触自体を避ける必要があります。
急に、執着レベルでにおいを嗅ぐようになりました。
環境の変化やストレスの後に、においを嗅ぐ行動が増えるケースがあります。ほとんどは自然な反応ですが、他の行動の変化(食欲低下、眠れない)と重なるなら、病院で相談してみてください。
においを嗅ぐ時間は、どれくらいあげるのが適当ですか?
決まった比率はありませんが、散歩の半分ほどをその子主導の探索にあげれば十分なほうです。時間のない日は全体を減らしても、探索の区間は残してあげてください。10分歩くだけでも、思う存分クンクンできた10分は満足度が高いんです。
においを嗅がせておくと、散歩が長くなりすぎます。どこで区切ればいいですか?
時間ではなく区間で決めましょう。最初の10分はその子の思うままににおいを嗅ぐ区間、その次は飼い主さんのペースで歩く区間、最後にまた自由区間。こう分ければ、散歩全体が間延びせずに、においの時間は確保できます。「さあ行こう」の合図を決めておいて、その言葉が出たらおやつで出発をごほうびしてあげてください。

この記事は一般的な情報であり、獣医学的な診断に代わるものではありません。愛犬の状態は動物病院にご相談ください。