道ばたの鶏の骨、正体不明のなにか。犬の口に入っていくあの0.5秒、心臓がひやっとしますよね。私もうちのグルム(「雲」という意味の名前です)の口から鶏の骨を取り出したことがあるので、その気持ちはよく分かります。ただ、あのとき私がした行動は、実は正解ではなかったんです。
ポイントは2つです。取り上げずに交換すること、そして「ちょうだい」のトレーニング。口に手を入れて無理やり取り上げると、次からはもっと速く飲み込むようになります。もっと良いおやつと交換してあげる方式で「ちょうだい」を教え、普段から地面のにおいを嗅ぐ時間を十分に与えると、拾い食いは減っていきます。
犬の立場で考えてみるとこうです。貴重なものを拾ったのに、毎回取り上げられる。なら結論はひとつ。取られる前に飲み込もう。実際、取り上げられ続けた子は飲み込むスピードが速くなります。最悪の学習ですよね。
だから順序を変える必要があります。奪うのではなく、交換してあげるのです。口にくわえているものより確実に良いおやつを鼻先に差し出すと、ほとんどの子は自分から吐き出します。吐き出した瞬間におやつをあげて、ほめる。これが「ちょうだい」トレーニングの始まりです。
| ステップ | 方法 | ポイント |
|---|---|---|
| ステップ1 | おもちゃをくわえさせ、おやつを見せながら「ちょうだい」 | 吐き出したら即おやつ |
| ステップ2 | 価値の低いおやつをくわえさせ、もっと良いおやつで「ちょうだい」 | 交換はいつも得だと学習させる |
| ステップ3 | 散歩中に実践 | 成功したら大げさにほめる |
家で10回成功してから、外で試してください。外は誘惑の難易度が違いますから。実践でうまくいかなければ、また家に戻ればいいんです。焦らないでください。
拾い食いが起きやすい時間帯と場所があります。生ゴミ収集日の朝の路地、飲食店の前、お花見シーズンの公園のレジャーシート周辺。こういうコースは避けるか、その区間だけリードを短く持ちましょう。
そして意外な原因をひとつ。散歩中ににおいを嗅ぐ時間が足りない子が、口で世界を探索してしまうケースがあるんです。クンクンする時間を十分にあげると、拾い食いが減る子はけっこう多いですよ。
「ちょうだい」トレーニングが進んでいるかは、お散歩の時間にも表れます。地面に張りつく時間が減ると、同じ道を歩く時間が短くなるからです。クンクンにお散歩を残すと距離と時間が日付ごとに残るので、その変化が目に見えます。
今日のお散歩を記録する →季節ごとに、地面に落ちているものが違います。春はお花見のお弁当の残がいと除草剤がまかれた花壇、夏は傷んだ食べ物とアイスの棒、秋は銀杏(ぎんなん)とどんぐり、冬は融雪剤とクリスマスシーズンのフライドチキンの骨。特に銀杏の実には毒性があるので、秋のイチョウ並木はコースから外すほうが安心です。
ゴミ出しの曜日も要注意です。うちの近所では生ゴミを出す日の朝は、誘惑の密度が最高になります。その曜日だけコースを変えるのも、現実的な予防策です。
「ちょうだい」トレーニングが完成するまでには数週間かかりますが、その間もお散歩は毎日ありますよね。過渡期は管理でしのげば大丈夫です。危険な区間ではリードを短く持って、その子を壁側ではなく飼い主さん側に寄せて歩く。地面に鼻を突っ込み始めたら名前を呼んで視線を上に上げさせ、おやつでほめる。顔が上がっている間は、拾い食いはできませんから。
それから、お腹がすいた状態のお散歩は難易度を上げます。食事の30分から1時間後、ほどよく満たされた状態で出かけると、地面の食べ物の誘惑は確実に減ります。
拾い食いは犬の本能と向き合うことなので、一朝一夕には直りません。それでも交換と予防を続ければ、必ず減っていきます。鶏の骨の前で心臓がひやっとする日が少しずつ間遠になっていくこと。それが成功のかたちです。
この記事は一般的な情報であり、獣医学的な診断に代わるものではありません。愛犬の状態は動物病院にご相談ください。