うちのグルム(「雲」という意味の名前です)が初めて散歩友だちのハル(柴)に会った日、しっぽを振っていたので「好きなんだね」と近づかせました。ところが数秒後、うなり声が上がったんです。あの日学びました。しっぽは「振るか」ではなく「どう振るか」がすべてだということをです。
しっぽを振るからといって、全部うれしいのではありません。読む基準は高さ、速さ、方向、そして体の力の4つです。お尻まで一緒に揺れる低くて広い振りがうれしさで、しっぽを高く立てたまま速く短く震える振りは、緊張や警戒です。体が硬いのにしっぽだけ揺れていたら、近づかないでください。
しっぽは、犬が気分を外へ出すアンテナです。ただ、人が笑うようにひとつの意味だけあるのではなく、うれしさから不安と警戒まで、感情の強さを表現する道具に近いです。だから「振っている」という事実ひとつだけ見ると、10のうち3は読み間違えます。下の表のように、高さと速さと体の状態を一緒に見るべきです。
| しっぽの様子 | 速さ | 体の状態 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 中間の高さ、大きく左右に | 普通 | お尻まで揺れる | うれしさ、楽さ |
| 低く、大きくゆっくり | 遅い | 体が低くやわらかい | 親しみ、少し慎重 |
| 高く立てて短く震える | とても速い | 体が固まり前へ傾く | 興奮、警戒、衝突の直前 |
| 水平、ゆっくり1、2回 | 遅い | 首をかしげる、凝視 | 状況の把握中、不確実 |
| 脚の間に巻き込んで先だけ | 速く少し | 体を縮める | 恐怖、降参のサイン |
| 体全体が円を描くように | 速い | 体全体がふにゃふにゃ | 最高のうれしさ |
これはなかなか知られた研究の結果なのですが、犬は飼い主さんのような好きな対象を見ると、しっぽが右側に多く寄って揺れて、見知らぬ犬や脅威を感じると左側に寄るそうです。脳の左右が感情を分けて処理するから、という説明です。目で見分けるのは簡単ではありませんが、正面から動画を撮ってゆっくり見ると、差が見えるケースがあります。面白いのは、他の犬もこの方向の差を読むという点です。左に寄って振る犬を見た犬は、心拍が上がって緊張するという観察があります。
これは飼いながら学んだのですが、グルムは私が玄関に入るとしっぽが右に寄って、体まで曲がります。逆に宅配の人の足音には、しっぽが高く立って短く震えます。同じ「振り」なのに、完全に別の心です。
「しっぽを振っていたのに噛まれました」という話が多いのですが、ほとんどは、高く立てたまま速く震える振りをうれしさと読んだケースです。この振りは興奮が限界の点にあるという意味なので、良い興奮と悪い興奮が紙一重です。見知らぬ人が手を頭の上へ差し出したり、目をまっすぐ見て近づくと、その興奮が警戒へ渡ります。だからしっぽが高くて体が固まっていたら近づかず、横向きに立って、犬が先ににおいをかぐようにしておくのが安全です。
しっぽがうれしさなのか警戒なのかは、写真より短い動画のほうがずっとよく見えます。散歩中の動画をクンクンに上げておいて数日後にまた見ると、あの日体が固まっていたのか、ふにゃふにゃだったのかが見えます。投稿に日付が残るので、動画が数個集まるだけでも、うちの子だけのしっぽ辞典ができます。
うちの子の動画を残す →耳が自然に後ろへ倒れて口が少し開いていれば、楽なのです。耳が前へ寄って口が閉じていれば、しっぽがどれだけ揺れていても緊張の状態です。しっぽひとつだけ見ずに、顔までセットで見てください。
柴のようにしっぽが巻き上がった犬種は、もともと高さが高くて「立てた」と誤解しやすいです。逆にグレーハウンドのようにしっぽが下に垂れた犬種は、うれしくても低く振ります。断尾された子は、しっぽの代わりにお尻と体の力を見るべきです。うちの子の普段のしっぽの高さを基準点にするのが先です。
見知らぬ場所でしっぽが完全に止まっていて体が固まっているなら、凍り付いた状態です。このとき触ると防御的に噛むことがあるので、やわらかい声で距離を置いて、自分でほぐれる時間をあげてください。
しっぽを読むのに正解表はありません。上の表は出発点で、結局は、うちの子が楽なときどう振るのかを知るのが基準になります。毎日見る人だけが分かる言語です。それが飼い主さんの特権ですし。
この記事は一般的な情報であり、獣医学的な診断に代わるものではありません。愛犬の状態は動物病院にご相談ください。