うちのグルム(「雲」という意味の名前です)は、私がトイレに行くとドアの前にふせます。キッチンへ行けばキッチンの敷居、ベランダへ行けばベランダのガラスの前。最初は愛されている気分だったのですが、ある日ふと気になりました。これは好きだからなのか、それとも私が消えるかもと思ってなのか。2つは外見は似ていますが、中身はとても違います。
付いて回る理由は愛着、好奇心、要求、習慣、不安の5つです。付いてきて横に楽に寝転んで、飼い主さんが出て行ってもすぐ自分のことに戻るなら、健康な愛着です。一方、飼い主さんが目から消えるとクンクン鳴いてうろうろしてドアをかき、外出の準備だけでも震え始めるなら、分離不安の側です。基準は「付いてくるか」ではなく「付いてこられないときどうするか」です。
犬は群れの動物なので、群れの中心の構成員のそばにいるのが基本値です。ここに「あの人が動くと何かが起きる」という学習が加わります。キッチンへ行けばおやつ、玄関へ行けば散歩、ソファに座ればなでなで。付いて回るのが得だったわけです。問題は、その土台が愛着なのか不安なのかによって、対処が正反対だという点です。
| 理由 | 様子 | 飼い主が消えると | 対処 |
|---|---|---|---|
| 愛着 | 付いてきて近くに楽に寝転ぶ | ちょっと見て自分のことへ | そのままに |
| 好奇心 | 何してるのかのぞき込む | 興味がなければ戻る | そのままに |
| 要求 | 見つめてクンクン、前足を乗せる | 他の家族のところへ行く | 要求を聞く前にちょっと待つ |
| 習慣 | 無意識に移動 | 特に反応なし | ひとりで休む場所を作ってあげる |
| 不安 | 体がくっついていて、離れると落ち着かない | クンクン、ドアかき、うろうろ、あえぎ | ひとりでいる練習、ひどければ相談 |
3つを見てください。第一に、飼い主さんが別の部屋に入ってドアを閉めたとき。愛着ならドアの前で待って眠り、不安ならクンクン鳴いてドアをかきます。第二に、外出の準備の動作への反応。鍵の音、上着を着ることにあえいで震えてまとわり付くなら、不安のサインです。第三に、ひとりでいるときの様子。吠えが長く続いて、トイレの失敗と破壊があれば確実です。この3つのうち2つ以上なら、分離不安と見て練習を始めるべきです。
これは飼いながら学んだのですが、グルムは私が見えないとドアの前に寝転びますが、5分ほどたつといびきをかきます。だから愛着の側だと結論を出しました。一方で散歩友だちのクルミ(ポメ)は、飼い主さんがトイレに行くだけでもドアをかいて、爪がすり減るそうです。それは別の問題です。
30分を超えて歩いた日は自分のクッションで眠り、短く終わった日は足元を離れない子が多いです。クンクンにお散歩を残すと距離と時間が日付別に積もって、足あとスタンプの付いた日と付かなかった日の夜がどう違うのか見えます。その差を見ると、散歩を抜かさなくなります。
今週のお散歩を確認する →キッチンの敷居に小さなマットを置くと、あの子はそこまでだけ来て寝転びます。部屋ごとに「ここがあなたの場所」があれば、付いて回りがうろうろに変わりません。料理中に足元で踏んでしまう事故も減りますし。
年を取った子が前になくくっついていようとして、夜にうろうろするなら、認知機能の低下や視力、聴力の衰えで不安になったのかもしれません。トレーニングより、病院の確認が先です。照明を明るくして家具の配置を変えないだけでも、不安が減ります。
家に人がひとりだけなら、あの子の世界がそのひとりに狭まります。散歩友だち、たまに見てくれる知人、犬の幼稚園のように、飼い主さん以外にも良い人と犬がいるという経験が、不安を予防します。
付いて回るのが悪いことではありません。世界でいちばん好きな存在に付いて回るのは、犬の立場では当然のことですから。ただ、私たちがいないときも大丈夫な子になること、それが本当に愛されている子の姿です。そうしてあげるのも、飼い主さんの仕事です。
この記事は一般的な情報であり、獣医学的な診断に代わるものではありません。愛犬の状態は動物病院にご相談ください。