うちのグルム(「雲」という意味の名前です)を初めてひとりにして出勤した日、私は会社でホームカメラばかりのぞき込んでいました。画面の中で、玄関だけを見つめて座っている後ろ姿に、心が崩れましたね。分離不安は、あの子の問題行動ではなく恐怖です。だからトレーニングの名前も「矯正」ではなく「練習」です。ひとりでも安全だということを、体で学ぶ練習。
核心は「ひとり=悪いことではない」という経験を、ごく短い成功から積むことです。順序は①出かける合図(鍵、服)の鈍感化:合図だけ見せて出かけないを繰り返す ②扉の開け閉め、1分の外出から成功の経験 ③耐えられる時間の中でだけ少しずつ延長 ④出るときのあいさつはあっさり、帰ってきても落ち着いた後にあいさつです。あの子がパニックする時間を繰り返し経験させるのは練習ではなく恐怖の強化なので、いま耐えられる限界の中で延ばすのが原則です。
| レベル | 姿 | アプローチ |
|---|---|---|
| 軽い | クンクン鳴いた後に落ち着く、扉の前で待機 | 家庭内の練習で改善が可能 |
| 中間 | 続く吠え、遠吠え、食欲の拒否 | 段階の練習+必要に応じて相談 |
| ひどい | 破壊の行動、トイレの失敗、自傷(扉をかいて爪の損傷)、よだれびっしょり | 行動の専門家、獣医師の相談を並行 |
レベルの確認には、ホームカメラが必須の道具です。出た直後の数分がいちばん激しい時間帯なのか、落ち着くまでどれくらいかかるのかを知ってこそ、練習の出発線(いま耐えられる時間)を決められますから。
分離不安の犬の不安は、扉が閉まるだいぶ前、飼い主さんが鍵を手に取る瞬間から始まります。合図と別れのつながりから断ってあげてください。方法はあっけないです。鍵を持ってソファに座る、外出着を着て皿洗いをする、靴をはいて脱ぐ。合図が出ても何も起きない経験を1日数回ずつまき散らすと、数週間かけて、合図の「恐怖の予告」機能が鈍ります。カメラで確認して、合図にもそっけなくなったなら、次の段階へ行く準備ができたわけです。
いよいよ本当の外出の練習です。扉を開けて出て、10秒で戻る。このとき、あの子がクンクン鳴く前に戻るのがポイントです。成功の基準は「あの子が楽な状態を保つこと」であって、長く持ちこたえることではありません。10秒、30秒、1分、3分。カメラを見ながら、楽さが保たれる限度の中でだけ延ばして、時間を延ばした日は、その後の数日その時間を繰り返して固めてください。ところどころ、ごく短い外出を混ぜて予測できなくするのも良いです。進んでいて崩れる日があるのが正常なので、その日は半段階下がれば大丈夫です。このトレーニングの敵は、焦りです。
1分から始める練習は進みが遅くて、良くなっているのか確信が持てません。外出前の穏やかな姿、帰ってきたときの姿を写真でクンクンに上げておけば投稿に日付が残るので、最初の週と1か月後の差が見えます。その差が、練習を続けさせてくれます。
今日の様子を写真に残す →こっそり抜け出すこと。目先の騒ぎは避けられても、あの子の立場では飼い主さんが予告なしに蒸発する経験なので、監視と不安だけがひどくなります。出るときはあっさり、「行ってくるね」のひと言で十分です。大げさな別れのあいさつと帰宅のあいさつも避けてください。別れと再会が感情のジェットコースターになるほど、ひとりの時間が相対的により暗くなります。帰宅の後は、あの子が興奮を静めた後に落ち着いてあいさつをして。そして、家に帰って見つけた事故(クッションの破壊、排泄)を叱ること。あの子は数時間前のことと今の叱られを結べず、「飼い主さんの帰宅=怖いこと」という最悪の公式だけを学びます。
練習と一緒に、ひとりの時間そのものを「暮らせるもの」にしてあげてください。出る直前の散歩でエネルギーを抜いてあげると、残りの時間のほとんどを眠って過ごすようになり、ノーズワークのマットや長く食べられるおやつ(コングに詰めたもの)を出発の直前にあげると、別れの瞬間が「おやつの開封式」に変わります。ラジオやテレビをつけておくのも、静けさを減らすよくある方法ですし。ただしこれらの道具は軽いレベルで効果的で、ひどい分離不安は道具だけでは覆えません。破壊、自傷、数時間の遠吠えのレベルなら、行動の専門家と獣医師(不安管理の相談)の助けを受けるのが、あの子を早く楽にしてあげる道です。
この記事は一般的な情報であり、獣医学的な診断に代わるものではありません。愛犬の状態は動物病院にご相談ください。