クレートトレーニングと聞くと、「閉じ込めて飼うことでは?」という反感から入る方が多いです。私もそうでした。でも病院への入院、車での移動、台風の避難のような瞬間を経験すると、考えが変わります。クレートに自分から入れる子は、人生の険しい日々をずっと怖がらずに通り抜けます。目標は監禁ではなく、扉の開いた「自分だけの洞窟」です。
クレートトレーニングの価値は移動(車、公共交通、飛行機)、病院への入院やトリミングの待機、災害の避難、お客さんが来たときの安全な空間など、クレートが避けられない瞬間を、恐怖なしにしてくれるところにあります。方法は①扉を外すか固定して、おやつで自発的な出入りを誘う ②中で食事と、長く食べられるおやつ ③入って休む時間が自然になったら、短い扉閉めから ④滞在の時間を少しずつ延長の順です。罰としてクレートに入れるのは絶対禁止。その瞬間、洞窟は監獄になります。
| 段階 | 方法 | 卒業の基準 |
|---|---|---|
| 1. 探索 | 扉を開けたクレートにおやつを投げておく、強要なし | 自分から出入りする |
| 2. 良い場所づくり | 中でごはんをあげる、長く食べるおやつは中でだけ | 自発的に入ってとどまる |
| 3. 扉閉め | 食べている間、数秒閉めて開けることから | 扉が閉まっても穏やか |
| 4. 時間、距離 | 閉めてそばにいる、部屋を出る、時間を延長 | 昼寝の場所として選ぶ |
段階を急がないことがすべてです。特に3段階でクンクン鳴くとき扉を開けてあげると「鳴く=開放ボタン」を学習するので、静かになった瞬間に開ける、というタイミングを守ってください。そもそも鳴く前の短い時間から始めれば、その状況そのものを減らせます。
大きさは、立ち上がって体の向きを変えて、楽にふせられる程度が基準です。大きすぎると居心地の良さが減って、トイレトレーニングを並行するとき隅をトイレに使う問題も起きます。素材は用途で分かれます。移動兼用なら航空規格のハードタイプ、家の中の安息の場所が中心なら、ワイヤータイプにカバーをかけたり、布タイプも良いです。配置は、家族の気配が感じられるリビングの端のように、孤立せず、通行にもまれない場所が良いです。中には慣れたにおいの毛布とクッションを敷いてあげて。うちのグルム(「雲」という意味の名前です)のクレートは、毛布を半分かぶせて洞窟のようにしてあげたら、今ではチャイムが鳴ると自分の足で避難する個人バンカーになりました。
1つ目、罰として入れること。悪いことをしたときクレートへ送った瞬間、積んできた良い記憶が崩れます。2つ目、長時間の閉じ込め。クレートは1日中の保管箱ではありません。成犬基準でも一度に3、4時間を超えないのが一般的なガイドで、子犬はぼうこうが持つ時間がずっと短いです。長時間の外出には、クレートの代わりにサークルで広げた安全ゾーンが正解です。3つ目、無理やり押し込むこと。体が入っても心が入らなかったトレーニングは、翌日もっと大きな抵抗になって返ってきます。4つ目、中で嫌なことをさせること。クレートから出したとたん、嫌いな爪切りへ直行するパターンも、クレートのイメージをむしばみます。洞窟のルールはひとつです。「この中では、良いことだけが起きる」。
クレートトレーニングは進みが遅くて、どこまで来たのか感覚がつかめません。扉の開いたクレートに自分から入った日、扉を閉めて5分持ちこたえた日を写真でクンクンに上げておけば投稿に日付が残るので、始めて何週間でどこまで来たのか、ひと目で見えます。
今日の様子を写真に残す →家で完成したクレート好きを移動へ広げるときは、中間の段階を入れてあげてください。クレートに入ったままリビングで持ち上げてみる、玄関まで移動してみる、エンジンを切った車に乗せてみる、短いドライブ。各段階ごとに、おやつと一緒に。車の移動が「クレート=病院行き」でだけ固まらないように、クレートで行った先が公園やドッグランである楽しい遠征を混ぜるのがコツです。このトレーニングが完成した子は、帰省の移動、旅行、引っ越しのような大きなイベントを、「自分の部屋を持ち歩く」安心感で通過します。
クレートトレーニングの価値が最大化される瞬間は、実は非常時です。台風や地震で避難しなければならないとき、ペット同行避難の現実的な前提がクレートですから。見知らぬ避難の環境で、クレートはあの子にとって唯一の慣れた空間になります。病院への入院や手術の後、絶対安静が必要な時期にも、クレートが楽な子と恐怖の子では、回復のストレスの差が大きいです。使う日が来ないことを願う保険のように、クレートトレーニングは平和な時期にあらかじめ入っておく安全装置です。
この記事は一般的な情報であり、獣医学的な診断に代わるものではありません。愛犬の状態は動物病院にご相談ください。