ペットカートを見て「大げさだな」と思ったこと、正直私にもあります。歩くのが散歩であって、乗せるのは散歩なのかな、と。ところが15歳のシニア犬と暮らすご近所さんの話を聞いて、考えが完全に変わりました。カートは歩きたくない子ではなく、歩きたくても長く歩けない子のための道具だったんです。
カートが必要なのはシニア犬の長いお出かけ、手術や膝蓋骨の回復期、歩く速さが違う多頭飼いのおうち、公共交通機関や長距離の移動の4つのケースです。健康な成犬の日常の散歩をカートで置き換えるのはおすすめしません。歩きと乗せるのを混ぜるのが正解です。
| ケース | 理由 | 使い方 |
|---|---|---|
| シニア犬 | 体力は落ちても外の景色は必要 | 歩いて疲れたら乗せる |
| 回復期 | 手術後の運動制限期間の気分転換 | 獣医師の指示の範囲内で |
| 多頭飼い | 子犬とシニア犬の速度差 | 疲れた子だけ乗せて散歩を続ける |
| 長距離移動 | カフェ、病院、公共交通機関 | キャリー兼用として |
逆に言えば、よく歩ける子を「楽だから」と乗せて歩くのは、散歩の意味を消してしまうことです。犬にとって散歩は移動ではなく、歩いてにおいを嗅ぐ活動そのものですから。カートは散歩の代わりではなく、散歩を延長してくれる補助手段と考えてください。
良い使い方の例はこうです。シニア犬と公園まではカートで移動、公園の中では下りてゆっくり歩き、疲れたらまた乗せて帰宅。歩く総量は守りながら、お出かけの半径は広がるわけです。
1つ目、耐荷重とサイズ。その子の体重に余裕のある製品で、中で向きを変えられる大きさが良いです。2つ目、車輪。歩道の段差が多い地域なら、大きな車輪とサスペンションが乗り心地を左右します。3つ目、飛び出し防止リード。中から飛び降りる事故を防ぐ内部のリードフックは必須です。4つ目、通気性。夏を考えると、メッシュ窓が広い製品のほうが良いです。
最初から乗せて出かけると、怖がる子がいます。家の中でカートを広げておいて、おやつを中に投げ入れて自分から乗ってみるようにし、次はカバーを閉じて数分、その次は家の中で押してみる。この順番で数日やれば、ほとんどの子は楽になります。うちのグルム(「雲」という意味の名前です)は、カートをリビングに広げてその中でおやつを食べる練習を1週間してから、ようやく外でおとなしく乗りました。
カートと歩きを混ぜる散歩では、その子が自分の足で歩いた分が大切です。クンクンのお散歩記録には歩いた距離と時間が日付別に残り、歩いた日には足あとスタンプが付きます。今日は10分でも歩いたという足あとスタンプが、シニア犬のお散歩ではいちばん頼もしい記録になります。
今日のお散歩を記録する →カートが負担な状況なら、代わりの選択肢も知っておきましょう。スリングやリュック型キャリーは小型犬の短い移動に軽くて便利ですし、かご型の自転車キャリーは行動範囲を広げてくれます。ただしシニア犬の長いお出かけと回復期の子の安定性という面では、カートに勝るものはありません。使用頻度を考えてみて、週1回未満ならレンタルや中古から始めるのも合理的です。
収納も確認しましょう。たたんだときのサイズが玄関に収まるか、車のトランクに載るか。良いカートでも、出すのが面倒だと使わなくなってしまうんですよね。
カートをためらわせる理由のひとつが、実は人の視線ですよね。「犬をカートに乗せて歩くなんて」という言葉、聞いたことのある方もいるはずです。でも15歳のシニア犬がカートのおかげで毎日公園のにおいを嗅ぎに出られるなら、それは大げさでしょうか。事情はそのおうちにしか分からず、その子の残りの季節を大切にするのは飼い主さんの役目です。視線は通り過ぎ、散歩は残ります。必要なら、堂々と乗せてください。
カートは結局、うちの子の世界を広げてくれる道具です。歩けない日にも外のにおいを嗅がせてあげられるもの。必要な時期が来たなら、悩むよりその子の今日を大切にしてください。風に当たりに出かけるのにいい日は、待ってくれませんから。
この記事は一般的な情報であり、獣医学的な診断に代わるものではありません。愛犬の状態は動物病院にご相談ください。