ムギ(ゴールデンレトリバー)の家へ行って、リビングの風景が変わったのを見ました。床いっぱいにマットが敷かれて、ソファの前にはゆるやかなスロープが置かれていましたね。ムギがある日、ソファから降りていて脚がくずおれた後の変化でした。事故が起きる前に前もって変えていれば良かった物たちを、ムギの家の試行錯誤と一緒に整理します。
シニア犬の家の改造の優先順位は滑り止め、段差なくし、照明を明るくの順です。滑る床にはマットを敷いて、ソファとベッドにはステップやスロープを置いて、夜に通る道にはほのかな照明を付けておいてください。ここに、水の器を何か所にも置くことと、家具の配置を変えないことまで足せば、シニア犬の転倒と関節のけがの大部分を、家で予防できます。
シニア犬のけがのほとんどは、家の中で起きます。筋肉が落ちて脚の力が弱まった状態で滑るフローリングを歩いて、関節のすり減った状態でソファを飛び降りて、かすんできた目で暗い廊下を歩いていて、事故が起きます。3つは互いに絡んでいて、床が滑れば着地の衝撃が大きくなって、目が暗ければ足の置き場を測れません。だからこの3つをワンセットで手入れしてこそ、効果が出ます。
| 空間 | 危険の要素 | 変えてあげること |
|---|---|---|
| リビングの床 | 滑るフローリングとタイル | 滑り止めマットを移動の動線の全体に |
| ソファとベッド | 跳んで上り下りする衝撃 | 犬用のステップやスロープ、乗れないように防ぐのも方法 |
| 廊下とリビング | 夜間の移動中の衝突 | ほのかな照明やセンサーライトを足の高さに |
| 寝床 | 硬くて低いクッション | 厚めの低反発のクッション、すきま風のない場所 |
| 水とごはんの場所 | 1か所までの遠い移動 | 水の器を2、3か所に分散、少し高くした食器 |
| 玄関とベランダ | 段差と敷居 | ゆるやかなスロープの板、敷居の前のマット |
ムギの家は、マットを敷いてからムギがまた家の中をすたすた歩き始めたそうです。歩いていて滑った記憶が、あの子を臆病にしていたのですね。
目がかすんできた子には、家具の配置を変えないことが最高の思いやりです。シニア犬は家の中の地図を頭の中に覚えて通うのですが、ソファの位置ひとつ変わっただけでぶつかって、さまよいます。角の鋭い家具には保護材を付けてあげてくださいね。耳が遠くなった子は、後ろから急に触ると大きく驚くので、視野に入ってから近づいて、床をとんとん響かせて気配を伝える習慣を付けてください。驚きが繰り返されると、防御的に噛むことも起きますから。
マットを敷くと、歩くのを怖がっていた子の散歩が、少しずつまた増えます。クンクンにお散歩を残すと距離と時間が日付別に積もって、歩いた日には足あとスタンプが付くので、足あとスタンプがまた密になっていくのが目に見えます。シニア犬は、歩いた日のひとつひとつが残しておく価値があります。
今週のお散歩を確認する →専用のマットがなくても、ヨガマットや使っていないカーペット、ラグで始められます。重要なのは材質より、動線を覆うことと、ずれないように固定することです。角が浮くとそれがまたつまずきの元になるので、テープで押さえてください。ムギの家を見て帰った日、わが家もソファの前に折りたたみのマットを1枚敷いたのですが、うちのグルム(「雲」という意味の名前です)はまだ飛び降りるものの、その場所にマットがあるということはもう知っています。
ステップを買う前なら、硬めのクッションやマットレスのトッパーを畳んでソファの前に置くだけでも、衝撃が減ります。あの子がよく使うなら、そのとき専用のステップを買っても遅くありません。
寝床の近くに水の器をひとつ余分に置くこと。今日できるいちばん簡単な変化なのに、効果は大きいです。水を飲む回数が増えれば腎臓にも良く、夜中の移動の距離が減って、転倒のリスクも減ります。
家を変えるのは、あの子の老いを認めることなので、心の片側がひやりとするかもしれません。でも逆に考えれば、あの子がもっと長く元気に歩けるように私たちにしてあげられることが、まだこんなに多いという意味でもあります。
この記事は一般的な情報であり、獣医学的な診断に代わるものではありません。愛犬の状態は動物病院にご相談ください。