この文を開くまで、心がとても重かったはずです。私も、うちのグルム(「雲」という意味の名前です)がまだ横にいるのに、この文を書く間、何度も止まりました。それでも書きます。準備された別れと準備できなかった別れは残る心が違うということを、先に見送った飼い主さんたちが口をそろえて教えてくれましたから。ゆっくり読んでくださっても大丈夫です。
最期を準備するというのはあの子の生活の質を守ることと、別れの手続きを前もって決めておくことの2つです。痛み、食事、呼吸、動き、喜びの瞬間が残っているかで生活の質を見て、病院と痛みの管理の計画を立てて、葬儀の方式と、そばにいる家族の役割を前もって話しておいてください。決定を前もってしておいた分だけ、最後の日々には、まるごとあの子のそばにだけいられます。
獣医学では、あの子の状態を感情ではなく項目で見る、生活の質の評価をすすめます。毎日同じ基準で見ると、ぼやけていた判断が、少しは鮮明になります。
| 項目 | 見ること | 良くないサイン |
|---|---|---|
| 痛み | 薬で痛みが調節されているか | 薬を使ってもクンクン鳴いたりうずくまる |
| 食事と水 | 自分で食べて飲むか | 2日以上ほとんど食べられない |
| 呼吸 | 楽に息をしているか | じっとしていてもあえいだり、おなかで息をする |
| 衛生 | トイレの後に体を保てるか | 寝たままトイレをして、自分で避けられない |
| 動き | 起きて歩けるか | 支えなしには起き上がれない |
| 喜び | 好きだった物に反応するか | おやつと家族にも無反応な日が続く |
※良い日と悪い日をカレンダーに印してみてください。悪い日が良い日より多くなる時点が、病院と深い相談の必要なときです。
ある時点になると、病院がこの言葉を口にすることがあります。前もってお伝えしたいのは、これはあきらめではなく、痛みを終わらせてあげる最後のケアのひとつの形として、獣医学が認める選択だということです。でも、正解の決まった問題でもありません。生活の質の評価を根拠に獣医師と何度も相談して、家族全員の心がまとまるまで、時間を取っても大丈夫です。どちらを選んでも、あの子のために悩んだその心自体が、もう最善です。罪悪感は下ろしてくださって大丈夫です。
先に見送った飼い主さんたちは、特別な日より、何事もなかった一日がいちばん見たいと言います。ただ眠る姿、ただ歩く姿をクンクンに上げておけば投稿ごとに日付が残って、その日の一日へいつでも戻れます。この平凡な投稿たちが、いつか飼い主さんを守ってくれます。
うちの子の動画を残す →日本では、民間のペット葬儀社や霊園での火葬(個別・合同、訪問の火葬車を含む)と、自治体の引き取りという道があります。方式によって、お骨を残せるかや費用が大きく違います。心の崩れた日に急いで検索すると判断が難しいので、前もって1、2か所を見ておいて、費用と手続きを知っておいてください。なお、公園や他人の土地に埋めることはできません。自宅の庭のような自分の土地なら埋葬は可能ですが、深く埋めるなどの配慮が必要です。
最期の瞬間に誰がそばを守るのか、子どもたちにはどう説明するのか、前もって話しておいてください。特に子どもには、死を隠すより「年を取って体が尽きたこと」だと、正直にやわらかく伝えるほうが、残る傷が少ないそうです。
あの子の好きだった物事を書いてみてください。好きだった公園、好きだったおやつ、好きだった人。体の状態が許す範囲で、ひとつずつ一緒にやってみるのです。このリストは、残りの時間を悲しみではなく、あの子との時間で満たしてくれます。
準備したからといって、痛くなくはならないでしょう。それでも準備した分だけ、最後の日々に慌てず、その時間をまるごと、あの子の顔を見ることに使えます。それだけで、準備の理由は十分です。
この記事は一般的な情報であり、獣医学的な診断に代わるものではありません。愛犬の状態は動物病院にご相談ください。