ケッケッ、カッカッ、コンコン。犬の咳は音も多彩で、何が何だか紛らわしいです。喉に何か引っかかったのかな、というあの音が実は咳、というケースも多いですし。音と状況別に疑うべき原因を区分して、病院に持って行くと良いもの(咳の動画)まで整理しました。
ガチョウの鳴き声のようなコンコンという乾いた咳が急に始まって、最近ドッグカフェ、トリミング、ペットホテルなど他の犬との接触があったなら、ケンネルコフ(伝染性気管支炎)の可能性が高いです。興奮したりリードが引っ張られたとき発作的に出るなら気管虚脱、夜と明け方に多くて呼吸数の増加が重なるなら心臓性の咳を疑います。どちらにしても咳が続くなら受診が必要で、咳の動画が最高の診断資料です。
| 様子 | 疑い | メモ |
|---|---|---|
| ガチョウ声の乾いた咳、急に開始 | ケンネルコフ | 他の犬との接触歴を確認 |
| 興奮、リードの引っ張りで発作的な咳 | 気管虚脱 | 小型犬、ハーネス推奨 |
| 夜、明け方の咳+呼吸数の増加 | 心臓の問題 | 安静時の呼吸数をチェック |
| 食べていてケホケホ、むせ | 給餌、異物 | 繰り返すなら受診 |
| 咳の最後に白い泡を吐く | 気管支の刺激 | 嘔吐と区別して説明 |
ケンネルコフは、犬が集まる場所でうつる伝染性の呼吸器疾患の総称です。人のインフルエンザのように、健康な成犬は対症管理で1~3週間のうちに回復するケースが多いです。ただし子犬、シニア犬、免疫の弱い子は肺炎に進行することがあるので、軽く見ることはできません。疑わしければ受診して、確定でも疑いでも、他の犬との接触(散歩のあいさつを含む)を回復まで断つのがマナーであり防疫です。予防接種(ケンネルコフのワクチン)が感染の確率と症状の強さを下げてくれるので、カフェやホテルをよく利用する子なら、接種の有無を確認しておいてください。
咳は意地悪なことに、診察室では出ません。私もうちのグルム(「雲」という意味の名前です)が明け方ごとにカッカッとえずいていた時期、病院では平気な顔をするので手を焼いたのですが、数日分の咳の動画を撮って行った日に、診断が一度に進みました。撮るときのポイントは、音がよく聞こえるように、咳の前後の状況(興奮、食事、睡眠)が映るように、そしてできれば安静時の呼吸の様子まで。「いつから、1日何回くらい、どんな状況で」という3つの答えを準備して行けば、問診が速くなります。
咳をする瞬間を短い動画でクンクンに上げておけば、投稿に日付が残ります。診療のとき、いつからどんな音だったのかそのまま見せられますし、治療後の動画と比べれば、良くなっているかも目で確認できます。
うちの子の動画を残す →咳の観察の前提は、緊急サインを知っておくことです。舌と歯ぐきが紫色や蒼白になる、口を開けて苦しそうに息をする、安静時の呼吸数が1分40回を超えたり、おなかで息をする、咳と一緒にぐったりや食欲の全廃、血の混ざった咳。こうしたサインは観察なしで即病院です。特に心臓の履歴のある子の、夜の咳の増加と呼吸数の上昇の組み合わせは、緊急の側に重きを置いて動いてください。夜なら夜間救急動物病院へ。迷ったら病院への電話で状況を説明して判断を受けるのが、いちばん速いです。
治療とは別に、環境が回復を助けます。たばこの煙、アロマキャンドル、ディフューザー、料理の煙のような気道の刺激源を片付けて、乾燥する季節は湿度を40~60%に合わせてあげてください。興奮して咳が出る子は激しい遊びを減らして、首輪の代わりにハーネスに替えて気管の圧迫をなくすのが基本です。散歩は状態に合わせて短く穏やかに。回復期の無理な運動は咳をまた起こすので、普段の運動量への復帰は、咳が収まってから段階的にしてください。
この記事は一般的な情報提供のための参考資料であり、専門的な診断と治療に代わるものではありません。愛犬の症状と治療は、必ず獣医師にご相談ください。