チャイムが鳴ると、うちのグルム(「雲」という意味の名前です)は玄関へ全力疾走するのですが、フローリングのコーナーで後ろ足がつるっと滑るのを見て、心臓がひやっとしました。漫画のような場面ですが、ひざには漫画ではないんですよね。その週の週末に、マットを敷きました。
室内で走ったりコーナーを回る小型犬のいる家なら、マットをおすすめします。フローリングとタイルは、犬の足裏がグリップをつかみにくい床なので、滑る瞬間ごとにひざと股関節が代わりに踏ん張ります。家全体ではなく、あの子が走る動線とコーナー、家具から降りる着地の地点だけ敷いても、効果は大きいです。
犬は、爪と足裏のパッドで地面をつかみながら歩く動物です。つるつるのフローリングでは、この構造が働かず、足が空回りし続けます。歩くたびに脚が外へ開いて、それをひざの周りのじん帯と筋肉が支えるので、疲労が積もります。膝蓋骨脱臼のある子は、状態を悪化させる代表の要因として滑る床が挙げられて、シニア犬は滑る経験が繰り返されると、歩くこと自体を怖がるようになります。
| 種類 | 長所 | 短所 | こんな家に |
|---|---|---|---|
| ロールマット | 継ぎ目なし、水拭きが楽 | 初期の費用、施工が必要 | リビング全体を覆いたい家 |
| ジョイントマット | 部分の交換、配置が自由 | すき間に汚れ、かじる子は注意 | 動線だけ部分設置 |
| ラグ、カーペット | インテリアに無難、安い | 洗濯が面倒、ずれに注意 | ポイントの区域だけ |
| 滑り止めのコーティング | 床をそのまま保てる | 効果に差、再施工が必要 | マットが嫌な家 |
※ラグを使うなら、裏面に滑り止めの加工がされた製品であるべきです。ラグごとずれると、もっと危険です。
全体が理想ですが、現実的には、動線中心の部分設置でも十分なケースが多いです。優先順位はこうです。第一に、あの子が走る通り道と、方向を変えるコーナー。第二に、ソファとベッドから降りる着地の地点。第三に、食器と水の器の周り。第四に、滑りやすい玄関の前。この4か所だけ押さえても、危険な瞬間のほとんどがカバーされます。マットのない区域では、あの子が自分で速度を落とすんですよね。
足裏の毛のケアです。パッドの間の毛が伸びると、マットの上でも滑ります。これは飼いながら学んだのですが、マットを敷いてもグルムが滑り続けるので見たら、足裏の毛がスリッパのように伸びていました。月に1回、足裏の毛を整えてあげて、爪も長すぎないように保ってください。爪が長いと、パッドが地面にちゃんと届きません。マットと足のケア、この2つがセットです。
マットを敷いて初めてリビングで全速力で回る場面は、時間がたつともう見られない姿です。1分のショート動画でクンクンに上げておけば投稿に日付が残って、元気に駆けていた時代の記録になります。走る動画は、後で宝物になります。
うちの子の動画を残す →ジョイントマットの角をちぎってのみ込む事故が、たまにあります。歯の生え替わりの時期の子犬や、かじる習慣のある子は、継ぎ目のないロールマットやラグが安全です。ちぎれたかけらが見えたら、その区域はすぐ交換してください。
マットの上の毛は、掃除機よりゴムのほうきがよく取れます。トイレの失敗が多い時期なら防水のマットを選んで、ジョイントマットは数か月に1回外して、床まで拭いてあげてください。すき間へ染みた汚れが、においの原因になります。
マットの厚さの差でできる段差にも、つまずいて転ぶことがあります。薄くて硬めのマットで高さの差を減らして、水の器の周りのようにぬれやすい場所は、水気をすぐ拭いてあげてください。立ち上がるとき滑る子は、寝床の周りから敷いてあげるのが順序です。
床は、あの子が一日中踏んで暮らす唯一の地面です。人の目にはただのフローリングでも、あの子のひざには氷の上かもしれないということ、それひとつだけ覚えておいてください。
この記事は一般的な情報であり、獣医学的な診断に代わるものではありません。愛犬の状態は動物病院にご相談ください。