ビションは毛が抜けないと聞いて迎えたのに、ブラッシングのたびにブラシに毛がひとつかみ引っかかります。だまされたのかと思ったら、分かってみれば半分合って半分違う話でした。「抜けない」のではなく「落ちない」のでした。アレルギーのせいで犬種を悩んでいる方に、特に必要な話です。
毛がまったく抜けない犬種はありません。プードル、ビション、マルチーズは、抜けた毛がカーリーや長い毛に引っかかって床に落ちないだけです。そしてアレルギーの原因は毛ではなく、フケと唾液に入ったタンパク質なので、低アレルギー犬種でも反応する人がいます。迎える前にその個体と直接過ごしてみるのが、唯一の確認法です。
すべての犬は、毛が周期的に抜けて新しく生えます。差は、抜けた毛がどこへ行くかです。ゴールデンレトリバーや柴のようにまっすぐで短いダブルコートは、抜けた毛がすぐ床に落ちて、プードルやビションのようにカーリーのシングルコートは、抜けた毛が周りの毛にもつれて付いています。だから床にはなくて、ブラシにはあるのです。この子たちをブラッシングしないと中で固まって、その下の皮膚が湿疹になるのが、この仕組みのせいです。
| 区分 | 代表の犬種 | 毛の抜けの体感 | 実際 |
|---|---|---|---|
| カーリーのシングルコート | プードル、ビション、マルプー | ほぼなし | 抜けるがカーリーに引っかかる、毎日のブラッシングが必要 |
| 長いシングルコート | マルチーズ、ヨークシャーテリア、シーズー | 少ない | 抜けた毛が長い毛に乗る、ブラッシングで除去 |
| ワイヤーの毛 | シュナウザー、テリア系 | 少ない | 死んだ毛が落ちず、手で抜くケアが必要 |
| ダブルコート | ポメ、柴、ゴールデン、コーギー | 多い | 換毛期にアンダーコートが束で抜ける |
| 短毛 | ダックスフンド、フレンチブルドッグ、ビーグル | 多い | 短くて見えないだけで、服によく付く |
※毛の抜けが少ない犬種は、代わりにトリミング代とブラッシングの時間がかかります。どちらでもケアは必要です。
アレルギーを起こすのは毛そのものではなく、皮膚から落ちるフケと、唾液、おしっこに入っているタンパク質です。このタンパク質が毛に付いて空気中に舞うので、毛が原因のように見えるわけです。だから毛の舞いにくい犬種はアレルギーの反応が少ない傾向がありますが、フケと唾液はどの犬種にもあって、反応が完全にないことはあり得ません。
これは飼いながら学んだのですが、同じ犬種の中でも、個体ごとにタンパク質の量が違うんですよね。だから「あのプードルは平気だったのに、別のプードルには反応する」ケースが実際にあります。低アレルギー犬種という言葉は「可能性が低い側」であって「安全」ではありません。
毛が抜けないというのは、毎日ブラッシングするという意味でもあります。ブラッシングの終わった後のふくらんだ姿をクンクンに上げておけば投稿に日付が残るので、1か月前の写真と比較すると毛の状態がどうか見えます。アレルギーの管理でお風呂とブラッシングをそろえるおうちなら、その記録が助けになります。
今日の様子を写真に残す →カーリーの毛は、1日抜かすだけで脇と耳の裏に固まりができます。スリッカーで解いてコームで確認する5分が、毎日の日課です。これができないと、毛の抜けない犬種の長所が、湿疹とサロンのバリカンに変わります。
毛が伸び続けるので、定期のトリミングが必須です。小型犬基準で1回6,000円~1万円前後、1年なら5万~8万円前後です。足裏と目の周りは家で整えれば、間隔を延ばせます。
この覚悟をすれば、得るものがあります。黒い服に白い毛が付かず、ソファに毛の固まりが転がりません。わが家は、うちのグルム(「雲」という意味の名前です)の毛のせいで掃除機をかけた記憶がほとんどありません。代わりに、ブラシに引っかかった毛を捨てるのが仕事ですけれど。
毛の抜けない犬種を探す気持ちは分かります。ただ「抜けない」ではなく「落ちない」だと知って選べば、迎えた後にだまされた気分の代わりに、準備できた気分で始められます。
この記事は一般的な情報であり、獣医学的な診断に代わるものではありません。愛犬の状態は動物病院にご相談ください。