エレベーターで下の階のご近所の方に会うと、私はついうちのグルム(「雲」という意味の名前です)の様子からうかがってしまいます。幸いうちは良い関係ですが、周りで騒音の問題で心を痛める飼い主さんを何人も見ました。苦情は、起きてから収拾するより、予防が百倍楽です。
マンションの犬の騒音は床に響く足音と、吠えの2つの流れです。足音はマットで減らせて、吠えは原因を探して管理するのが順序です。ここに、ご近所へ先にあいさつして連絡の窓口を開けておく意思疎通まで加えれば、苦情のほとんどは、生まれる前に防げます。
ご近所へ伝わる騒音は、種類ごとに対策が違います。わが家はどちら側なのかの把握からしてください。
| 騒音の種類 | 伝わる経路 | 対策 |
|---|---|---|
| 駆ける足音、全力ダッシュ | 床の振動で下の階へ | 動線にマット、夜のエネルギーの消耗 |
| 吠え | 壁と窓で隣の家、廊下へ | 原因別の吠えの管理 |
| 遠吠え、クンクン鳴き | ひとりでいる昼の時間帯 | 分離不安の確認と練習 |
| おもちゃの音、爪の音 | 床 | マット、爪の定期のケア |
※飼い主さんがいるとき静かな子も、ひとりでいるとき吠えるケースが多いです。苦情のかなりの部分が、飼い主さんだけ知らなかった音から出ます。
吠えは、頭ごなしに叱るとむしろ増えます。原因を分けて近づくべきです。廊下の足音やチャイムに吠える警戒の吠えは、音の鈍感化のトレーニングと一緒に、玄関の見えない場所へ寝床を移すだけでも減ります。退屈でエネルギーが余って吠える子は、散歩量とノーズワークを増やすのが答えですし。ひとりでいるとき吠えて遠吠えする子は、分離不安の側なので、ひとりでいる練習を最初から踏むべきです。要求の吠えには、反応しない一貫性が必要ですし。うちの子がいつ吠えるのか分からないなら、外出している間の音を確認してみることからが、始まりです。
いちばん効果の良い予防策は、意外にもあいさつです。引っ越してきたり、あの子を新しく迎えたなら、下の階と隣の家に犬がいるということを前もって知らせて、うるさければいつでも言ってくださいと窓口を開けておいてください。これは飼いながら学んだのですが、同じ音でも「知っている家の犬」なら我慢できて、「知らない家の犬」なら騒音になるんですよね。苦情がすでに入ったなら、防御より傾聴が先です。どの時間帯がおつらかったのか聞いて、マットの設置やトレーニングの計画のような改善の努力を、具体的に伝えてください。感情が傷付く前に誠意を見せれば、ほとんどは理解に戻ります。
夜に駆ける日は、ほとんど散歩の抜けた日です。クンクンにお散歩を残すと歩いた日ごとに足あとスタンプが付いて、距離と時間が日付別に積もるので、足あとスタンプの空いた日ほど夜にエネルギーが余るということが見えます。騒音の管理の半分は、散歩がやります。
散歩の記録を始める →リビング全体が難しければ、あの子が走る通り道と遊びの区域、玄関までの廊下だけでも敷いてあげてください。厚さのある防音用のマットが足音の振動を押さえるのに効果的で、滑り止めで関節の保護まで兼ねます。
早朝と夜の時間帯は、ボール遊びや引っ張りっこのように駆ける遊びを避けて、ノーズワークのような静かな活動に替えてあげてください。エネルギーのあふれる子なら、夜の散歩を十分にさせて、夜を落ち着かせるのが根本の対策です。
外出前の散歩でエネルギーを抜いて、長く噛むおもちゃをあげて出てください。外の騒音を覆ってくれる穏やかな音を流しておくのも、警戒の吠えを減らしてくれます。それでも遠吠えが続くなら、トレーニングの助けを受けるのが、ご近所とあの子の両方のための道です。
マンションで犬を飼うのは、肩身の狭いことではなく、準備することです。準備された飼い主さんの子は、良いご近所さんになれます。今日の夜の散歩から始めてみてください。
この記事は一般的な情報であり、獣医学的な診断に代わるものではありません。愛犬の状態は動物病院にご相談ください。